前回の記事「掌蹠膿疱症を疑って」の最終段階で見つけた医療機関へ電話をかけました。電話口ではかなり詳しく症状を聞かれ、1ヶ月後に先生の予約を取ったのです。
その際言われたのは「問診票をネットよりダウンロードして記入してくること」。「直前のキャンセル、無断キャンセルはキャンセル料がかかること」でした。
そう、この医療機関は保険診療をしていないんです。すべて実費。
今考えるとどうかと思うのですが、このときは手の痛さが解消されるなら、と藁をもすがる勢いでこの医療機関を予約しました。
それでもネットリテラシーは高いほうだと思う私。この医療機関の口コミを検索しました。が、ここでちょっと不気味なことが。
この医療機関、いい口コミはあっても悪い口コミが一切と言っていいほどないんです。唯一見つけたネガティブな口コミもほんの数行のコメント。こんなこと普通あるんでしょうか?
それでも治るなら、痛みから開放されるならと予約日を迎えました。
前回も書きましたが、この医療機関は歯科と内科を併設しており、両面から掌蹠膿疱症の治療を行うとうたっています。
まずは、歯科医との面談。歯科医は私の手を見るなり「掌蹠膿疱症です。治療を行えば3ヶ月ほど完治します」と力強く言ってきました。私は神が現れたと思い、今までの暗い気持ちがパッと晴れました。
面談後、口の中の検査をしました。私の口にはかぶせの銀歯が3本、詰めている銀が3箇所あり、その検査結果から再度歯科医と面談。
すべての銀を口から取り除き、セラミックに変えるのに60万かかります。その60万には内服薬(サプリメント)も含まれています。と、言うのです。
確かに私の銀歯をセラミックに変更するには60万くらいかかるでしょうが、予定外です。銀歯を取りたいのではなく手を治したいんです。本当に治るのか?確か金属アレルギーのパッチテストは陽性でした。もらう内服薬も薬ではなくサプリメント。
「手は治るんですよね?」と問いかけると歯科医の顔が一瞬曇ります。「私の言っていることが信用出来ないのか?」と顔が言っていますが、すぐに「治ります」と言いました。
とにかく私は手の症状で身も心も疲れ切っていました。力強く「治る」と言うこの先生にかけてみようと思いましたが、やはり突然の60万の出費は考えものです。
が、この日にどうするか決めろと言わんばかりに歯科医、助手などに迫られます。
さすがに60万をすぐには出せないので30万で半分、歯の治療をしてもらうことに「この日に」決めました。半分やって意味があるのか謎ですが、歯科医曰く「半分でもやれば症状はラクになるはずだ」と言うので。望みをかけました。
この日は採血、唾液・髪の毛の採取や他の検査も行いました。この歯科医が内科も見ることができると思っていたのですが、内科は別の方のようで、検査結果は1ヶ月後と告げられるのです。
検査結果も出ないまま、数回に分けて歯科治療が始まります。アマルガムが詰めてあると言われた詰め物3箇所とかぶせた銀歯1箇所は他の歯の色と違和感ありありのセラミックに変わりました。
歯科治療の間、サプリメントによる腸内フローラの回復と体内に溜まった金属のデトックスを行いました。サプリメントと言っても飲んだのは0.5gで0.2%と言う超低濃度のビオチンとビオフェルミン。しかもビオチンは1日に1包。金属のデトックスにはこれまた超クソ不味いお茶でした。その後、数錠のグルタチオンも出ました。
掌蹠膿疱症とビオチンで検索すると多くサイトがヒットします。多くのサイトがビオチン療法を進めていますが、そのどれもがビオチンの摂取量が多いんです。0.5gで0.2%を1日1回なんて少なすぎなんです。しかもビオチンとビオフェルミンを一緒に取るとビオフェルミンによってビオチンの吸収を阻害されると書いてあるサイトも多くあります。大丈夫なんだろうか?
1ヶ月くらいサプリメントの摂取を続けましたが、ほとんど良くならないため、ネットに書いてあった量のビオチンを摂取するため海外のビオチンサプリを個人で購入。ビオフェルミンも辞め、ミヤリサンに切り替えました。それでも良くはなりません。
歯を半分しか治療しなかったのが悪かったのか、と悩んでしまっていました。30万支払って歯の治療が終わって数週間。ようやく内科医との予約が取れ検査結果を含めて問診を行います。
この内科医と言うのがこの医療機関の院長だったんです。いろいろと検査結果を聞かされますが、ここで驚きます。新たなサプリを飲んで身体の環境を整え手の改善をしましょうと言うのです。正直全部最初からやってくれ、と思いました。わたしは苦しんでいるのです。治らない治療に呑気に時間を費やす余裕はないんです。
そして、そのサプリの金額に驚愕します。3ヶ月で15万かかると言うのです。はっきりとは言いませんでしたが3ヶ月で治らなければ、もう3ヶ月やるニュアンスでした。その場では「検討します」と言いましたが、さらに採血をしましょうと言われました。
「採血は以前しただろ」と思いながらも採血しました。
別日にかぶせたセラミックの高さを調整してもらいに再度歯科医に会ったとき、歯科医は私の手を見て「よくなるといいね」と言い放ちました。「3ヶ月で治ります」と力強く言った、あの歯科医が「よくなるといいね」と他人事のように言ったんです。この言葉でわたしは「やられた」と確信しました。
身も心も弱み切ったところにつけ込まれんだな、と。
この医療機関には不審な点がいくつもありました。歯科医が前回問診したことを全く覚えてない。カルテの意味がない。「次回は○○しまいしょうね」と言うがやらない。歯科医と内科医との間で治療内容のやり取りができてない。診察室にペッパー。無菌室のドアが開けっ放し。歯科治療室が汚れやホコリで不衛生。
掌蹠膿疱症は難病指定されていませんが、発症して苦しんでいる人はたくさんいると思います。そこを商売のチャンスとして開業したのでしょう。ネットでは上位にヒットするように対策をし、悪い口コミは根こそぎ削除。ここまでやっているんだから流石です。
そして私の「掌蹠膿疱症」は次の段階に進みます。